建築も土地も宝物。

ロシアによるウクライナ侵攻開始から3ヵ月以上が経過し、長期化もささやかれていますが、報道される現地の状況はあまりにも無残で、目を覆いたくなるものです。
　「ローマは一日にして成らず」という格言がありますが、人々がこれまで築いてきた建物、街が破壊される様は、本当に悲しすぎます。このような事態が世界でもう二度と起こらないことを願うばかりです。

　さて一方、日本では先人が作り上げてきた建築や街が違う意味で危機に直面しています。
　少子高齢化に歯止めがかからず、都市と地方の格差が拡大し、全国の地域で過疎化が進行しています。保育園を多数手がけてきた私としては、子供たちの笑顔を見るたびに、日本を元気にしていくための一番の恒常的なテーマは少子化の改善ではないかと思います。

　そして同時に、急激な人口減少は今まさに「空き家問題」を引き起こす結果ともなっています。
更地にすると税金が上がるとか、相続人が不明などで取り壊さないなど、色々な事情があり空き家になっているケースもあるので、公共の福祉、社会全体のことを考えて、個々の所有権にも踏み込んで検討していく時期にきていると思います。

　私は、手を加えれば使える建物はとても多いと考えています。安易に取り壊さず、放置せず、工夫をして使っていく、その気持ちが大切だと思いますし、老朽化した建物を的確に判断することが必要なので、今から私達建築士の出番だと思っています。
　皆さんの身近にありませんか？　「残す建物も宝物。更地にする土地も宝物。」テコデザインはそう考えます。