2021/11/14
9月に久しぶりに福島県南相馬市小高区に立ち寄りました。
東日本大震災で被災し、原発事故で避難を余儀なくされ、歴史あるこの町の人々の生活は無残にも奪われました。一時は立ち入ることすらできなかったのですから、本当にあってはならないことで、何と申し上げてよいか言葉もありません。
そして我々の生活はいまだ、その原発の生み出すエネルギーによって成り立っていることを忘れてはなりません。
地球温暖化の危機に直面し、二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電のことも含め、日本全体でこのネルギー政策を話し合い、世界にも後れをとらないようにしなければならないと思います。
さて、数年前に、ようやく立ち入れるようになった小高に行った時は全く惨憺たる状況でしたが、久々に訪れた街を歩き、ようやく今少しずつではありますが、小高の復興が歩み出したところのようでした。
小高駅からのメインストリートに、写真の小高交流センターがあります。
前に私が改装設計を手掛けさせていただいた、小松屋旅館さんのすぐ近くでした。
歴史を思わせる瓦屋根の和風建築は、低層、ヒューマンスケールで非常に瀟洒な建物です。そしてこのエリアに通り抜けの小路をつくって、複数の建物が並ぶ建築群がつくられていて、こんな建築はとても優しいなあと感じました。
訪れた日は非常に静かでしたが、イベントを開催できるようなオープンスペースとして、天然芝の広場や、人工芝張りの屋内施設「あそびばラシクル」が用意されています。カフェや食堂もあるので、ここが小高再生の一つの拠点になればいいなと願っています。
人々の生活や賑わいがあって初めて「街・地域」だと思います。建築の力は微力ではありますが、日本中の地方を覆うマイナスムードを反転させるような、そんな取り組みをしていきたいと感じる日でした。