2022/08/23
東北地方の悲願、ついに、ついに、深紅の優勝旗が白河の関を越えました!
仙台育英学園高等学校の皆さん、本当に優勝おめでとうございます。
振り返ると地方大会でも圧倒的な力の差を見せつけたわけでもなく、夏の甲子園大会前には優勝候補としてそれほど名前が挙がっていませんでしたね。しかし、個々の選手達は着実に実力をつけ、本当に層の厚いチームになっていました。
最初に試合に5投手を繰り出し、それもいずれも142km/hを超えるストレートを投げるということで話題になりましたが、実は控えにも十数人がレギュラーでもおかしくない投手がいたということで驚きました。
打線も決勝戦の7回の岩崎君の満塁ホームランが大会での初めてのホームランということで、これまたびっくりでしたが、裏を返せば、バントやヒットエンドラン、ディレードスチールなど多彩な攻撃や、繋いで繋いで連打を放って得点したということですね。
これだけ層の厚いチームになったのは、明確な目標を掲げて、選手にはきちんとデータを示した上で、誰にでもレギュラーの可能性があるという公平性のもと競争をさせた須江監督の指導力が素晴らしかったのだと思います。選手達との信頼関係が確固たるものになり、彼らのモチベーションを高めると同時に、やはり何より人間としての成長を考えていらっしゃったことが、以前から耳にしていた須江監督の言葉や、試合後、優勝後のインタビューでの選手の言葉でそれがよく分かりました。常にチームメイト、控えの選手、裏方、学校の生徒、家族、地域の人、そういう方への感謝の気持ちが表現されていました。
野球はこれまで「仙台育英ナイン」というような呼び方でしたが、今回は「仙台育英チームのみんなと応援するみなさん、おめでとう」ということになるのかもしれません。
春夏を通じて確か200校近い優勝校が出ている中で、東北勢の優勝が初めてというのは本当に不思議という他ありませんでしたが、準決勝に進出した福島の聖光学院をはじめ着実に東北地方の高校野球の実力が上がったという実感があります。
これまで東北地方の決勝進出12チームは、素晴らしい能力の剛腕エースがチームを引き上げてきた印象でしたが、今大会の仙台育英は全く違うチーム像で勝ち上がったと言っても過言ではないと思います。
これまで、「東北6県」という括りに対して、我々はまとまりや仲間意識として受け止めて、いつも東北地方の6チームを応援したい気持ちになりますが、東北の呪縛から解き放たれ、純粋で粘り強いと言われる東北人の気質がますます生きてくるのではないでしょうか。
そんな風に勇気づけてくれた仙台育英の皆さん、ありがとう。東北地方の皆さんおめでとう。